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一区切り

2015/11/25
こんばんは雷千です! 
先日大がかりな片づけをしました。その際にとんでもないものが出てきまして/(^o^)\


※この記事は人によっては不快感を催し見続けることができなくなる場合があります。(黒歴史的な意味で





これです。



若かりし黒歴史

A4ルーズリーフに文字がびっちり印刷されております。
身に覚えのある方はウッとくるかもしれませんが!



SSです。

こっ…16か17の時の…!



存在をすっかり忘れていたけど、1枚目を一目見たら思い出しました。走馬灯のように駆け巡る黒歴史! 
テーマは生体2した。確か実装されてちょっとしてから書いたのかな…。
しかもROやってない同級生に見せてたよコレwww痛すぎるwwwworz


懐かしさと恥ずかしさを込めて、公開します!
できるだけ 当時の表現のまま です
やばい悶えて死ぬwwwタイトルからつらいwwwwww



目を通される方は、とても拙い文章ですのでご注意ください。
ルーズリーフ16枚だから量も結構ある…う…
3枚目からフォントサイズが縮んで文字数が倍にwwwなんぞこれェ



「光の頂点、未来の橋」

 イレン=エベシ・・♂アコ。語り、ノリツッコミ。「僕」
 ラウル=ヴィンダー・・♂マジ。イヤミ。「俺」
 カヴァル=イカルス・・♂アチャ無口で「・・・」が多い。「おれ」
 ヒュリス=バイン・・♀シーフ。ツンデレ風味(爆 「アタシ」
 アルマ=デュンゼ・・♀まーちゃ。礼儀正しい。「アルマ」
 ニニア=イグゼム・・♀剣士。ぼんやりにっこり。「わたし」

 ===

「久しぶりだね」
 僕は数年ぶりに再会した幼馴染み達に、そう言った。
「イレンも久しぶり~!」
「しばらく会わないうちに、少しは強くなったか?」
「遅いわよイレン! アンタが遅れてどうすんのっ」
「また会えて良かったですよ、イレン」
「・・・久しぶり・・・・・・」
 ニニア、ラウル、ヒュリスにアルマ。カヴァルはちょっと無口になったみたいだけど、みんな元気そうでなによりだ。
 僕達はここ、企業都市リヒタルゼンで育った幼馴染み。みんな修行のために外へ出ていたのだが、今日国の方から招集がかかったため、里帰りも兼ねて帰ってきているのだ。
 ニニアは、流れる青い髪が綺麗なソードマン。ぱっちりとした瞳は、戦うときはキリと細められて凛々しさを感じられる。僕は、そんなニニアの笑った顔が・・・好きだ。
 ラウルは硬めにかかる燃えるような赤い髪が特徴的なマジシャン。実際燃やす系の魔法が得意なようだ。ちょっと嫌味なところもあるんだけど、意地張ってるだけだし仲間思いのいいやつだ。
頭がいいから話してるだけでも勉強になる。
 ヒュリスは、闇ににじむ黒髪をポニーテールにしたシーフ。ラウル以上の意地っ張り。中々のお兄ちゃんっこで、僕らと遊ぶたびに、兄のレイガさんがついてきていた。・・・クローキングで。レイガさんもシスコンなんだよなぁ。おっと、これは禁句だった。
 アルマは、肩までの長さの陽に映える金髪を持つマーチャント。僕らの中では唯一の年下。確か2コ下だったかな? とても素直で、ラウルの嫌味にも負けないくらい頭がいい。
 カヴァルは焦げ茶色の髪のアーチャー。狙った敵は百発百中、僕らの誰よりも早く敵を射止めてた。普段はおっとりしてるけど、一度戦いになると空気が違う。
 そして、僕はイレン。自慢じゃないけどサラサラ金髪のアコライト。支援が好きで、誰かの役に立ちたくてこの職に就いた。全然楽じゃないけど「ありがとう」って聞くと嬉しくなる。また頑張ろうって思えるんだ。
 14歳のアルマと16歳の僕ら。みんな、頑張ってるんだ。
「イレンもラウルもカヴァルも背伸びたねー。何年ぶりだっけ」
「最後に会ったのがアルマが8歳の時でしたね」
「ってことはアタシが今16だから、もう6年前!?」
「そんなに会ってなかったのか・・・」
「そういやヒュリス、レイガさんは?」
「ちょ、なんであんたまでラウルと同じこときくのよっ」
 ラウルも同じこときいたのか・・・。
「いいじゃない教えてあげなよ」
「ふふん、心して聞きなさいよ。今ここにはいないんだけどね、」
「・・・レイガさん、レッケンベルの重役・・・に」
「へぇー、すごいじゃないかぁ」
「そう、すごいのよ・・・って、アンタなに先に言ってんのよ!」
 ヒュリスはカヴァルを落としにかかる。首に手を回して、遠慮なくぎりぎりと締め上げた。
「ふん!」
「・・・・・・」
「あれだ、兄ちゃんが活躍してんのをよっぽど自分の口から言いたかったんだな」
 ぼそりとラウルがつぶやく。聞こえてたらラウルも締め上げられちゃうよ?
「・・・・・・・・・」
 あれ?
「!! ヒュリス、それ以上はだめだって!」
「大変だ顔が青いよカヴァルぅ! 『ヒール!』」
 やっとカヴァルは解放された。だけどカヴァルは青い顔でぐったりとしている。
 僕は死にかける幼馴染みに必死でヒールをかけた。
 いくらなんでもヒュリスはやりすぎだよ・・・。
「やっぱりお兄ちゃんっ子は恐いな。なぁイレン?」
 きゅぴーん。ヒュリスの目が光る。
「あぁ、う、うぅんそうかも」
 微妙にお茶を濁しながら、ラウルから目を逸らす。ごめんラウルっ、僕は君を守ることはできない。
 そしてラウルも沈黙した。
「あはは、久しぶりに会ったのに何も変わらないのよね」
「でも、アルマは見てるだけで楽しいです」
「確かにそうだね」
「た、楽しくないわよッ!」
 ほんと、6年も経ってるのに全然変わらない。ここまで一緒に笑いあえるのも久しぶりで、懐かしくって、とても嬉しい。みんなとずっと一緒にいたいって思う。だけど、招集されて用が済めば、またいるべき場所に戻らないといけない。せめて、今ある時間を楽しまないと!
「そうだ、みんな揃ったことですし、なにか飲み物買ってくるです」
 そう言ってアルマは町中の水辺のベンチから立った。
「ありがとう~」
「アタシは蜜柑コーラね!」
「気が利くね、アルマ。(気絶している)二人の分も頼んだよ」
「あい分かりました」
 アルマは飲み物売り場に駆けていく。ほんと、気が利くようになったなぁ・・・。
 ぼてぼてと走る背中を見て、大きくなったもんだと思う。アルマは僕にとって、なんていうか・・・妹みたいな存在だ。
 ──みんなで一斉に転職して、町を出たとき。一番年下のアルマだけは泣いていた。泣きながら叫んでいたんだ。「アルマは、次会うときは立派なアキンドになってます! みんなも立派になって会いましょう!」
 アルマ、立派になったよほんと。僕もあのころから少しは立派になったんだろうか?
「ねえ、僕立派になれたかな」
「うん?」
「なによいきなり」
「うーん、そうねぇ・・・」
 そこで悩まないでよニニア! 即答してくれー・・。
「なんかへらへらするようになったね」
「ひどっ」
 ニニアはどう思ってる?
「うん、前よりはしっかりしてるって思うよ」
 男前になったってことだよね! いい意味いい意味!
「またへらへらしてる・・・」
「なっ・・・!」
 ヒュリスに指摘され、僕は思わず赤くなってしまった。
「体温が上昇、頬は上気・・。図星だな、イレン」
「って違うってばぁぁっ!」
 復活したラウルは容赦なく痛言する。
「ほんっと分かりやすいなイレン。・・・む? アルマがいないようだが」
「うん、飲み物買いに行ったよー」
「なにぃ!? 俺が寝てるうちにか! 俺はブラックコーヒーしか飲まんことをアルマは知らんだろう、言いに行かねばっ」
 ラウルも飲み物売り場へ走って行ってしまった。
 好み変わったんだなぁ、ラウル。昔は・・・。
「ラウルさ、昔はカフェオレばっかり飲んでたよね」
「そうそう、ミルクと砂糖たっぷりのあっま~いやつ!」
「ニニア、僕も同じこと考えてたよ」
「あはは」
 些細なつながりでも嬉しいって思っちゃうんだなぁ。
 ふと背後に、すっと気配を感じた。振り向くとカヴァルが復活している。
「カヴァル、どこ行くの?」
「アルマのとこ・・・。飲み物六つ、二人で持つのは・・・大変」
 そう言うと、駆けて行ってしまった。
「気ぃなんて使わなくても全部ラウルに持たせりゃいいのよ」
「ヒュリスも相変わらずだね」
「なーに、イレン、あんたも締め上げられたい?」
「まぁまぁヒュリス・・・」
 ニニアがヒュリスをおさめる。さすがニニア、いい子だなぁー。
「なにへらへらしてんのよっ」
「だーかーらー、してないってばっ」
 いけない。また顔が緩んでいたらしい。
 ふと、聞き覚えのある声が聞こえてきた。どうやら三人が帰ってきたみたいだ。
「お待たせしましたー」
「おか~」
「遅いじゃないー」
「うん、ありがとう」
「なんだヒュリス、頼んでおいてその態度は」
「あんたこそなによ別に頼んでないわよっ」
 蜜柑コーラ頼んでたって!
「上等だな・・・」
「なによ、やるっての?」
 ってまたケンカが!?
「ケンカは良くないよ、久しぶりに会ったんだか」
「イレンは黙ってろ!」
「イレンは黙ってなさい!」
 うわぁ止められない! 二人とも昔からよくぶつかるけど、ここんとこだけ成長してないっ!?
 ラウルとヒュリスが互いの攻撃スキルを使おうとしたとき──火矢の雨が降った。
『マグナムブレイク!』
『アローシャワー!』
 ニニアの放った攻撃スキルは、ただの矢を火矢にする。火矢となって、ラウルとヒュリスの足下に突き刺さる。矢は、二人とも動けないように計算されて撃たれていた。
「ご、ごめん・・・」
「・・・悪かったな」
 さっきまでとは打って変わった態度で謝る二人。冷や汗をかいている。
「ケンカはだめだってイレンも言ったじゃない!」
「そうだ、・・・久しぶりに会ったのに、怪我、したくない・・・」
 さすがだよニニア! カヴァルも! にしても・・・。
「二人ともいつからそんなにつよ」
『カートレボリューション!』

 ドゴぁッ!!

「!?」
「「ゲハッ!」」
 いきなりカートが視界で回転した。・・・矢で動けない幼馴染み二人を巻き込んで。二人とも吹っ飛んだ。
「ケンカはダメですー! って、あれ、もう終わって・・・?」
 アルマもケンカを止めようとしてくれていたらしい。ちょっと遅かったけど・・・。
 アルマはしおらしく言った。
「ほんと、せっかく集まれたんです。時間は有限じゃない・・・。アルマはこの時間を楽しくすごしたいです! ラウルとアルマは・・・違うです?」
 言って、二人を上目遣いで見る。・・・可愛いなぁ、アルマ・・・。
「ほら、みんなこう言ってるんだからさ。この町にいる間は仲良くしようよ? ね?」
 僕が言っても説得力ないんだよね・・・。
「わ、わかってるわよそんなことッ!」
「アルマの可愛さに免じてここは手を引くとしよう。
 よかった、なんとか納得してくれたみたいだ。
 それから、僕達は落ちついて話をした。あ、落ちついてじゃなくてけんかせず、ね。結構騒いでた。今までのこと──自分の足で歩き、冒険したこと。楽しかったこと、許せなかったこと、忘れられないこと。ヒュリスは臨時公平パーティで出た青箱を勝手に開けられたことを思い出して、また怒ってた。ラウルは蟻地獄でビタタカードが出た時の話をして、ヒール1をしてみせた。僕のヒール1より回復量高い!? カヴァルはフローラを狩っていたら、ラウルが倒れていたのを見つけたこと。助けずに草葉の陰から見てたらしい。ニニアは狩場で女の子の剣士友達ができたこと。良い武器などを紹介してもらったんだって。アルマは自分の露店に固定客ができたことについて。いつもお店ありがとう、って言ってもらったのを喜んでた。そして、僕は、辻ヒール1000人を目指してて、今473人目ってことを話した。お礼を言われる前に逃げるのがミソ!
 いつのまにか、結構な時間が経っている。
「わ、もうこんなに時間経っちゃってる」
「楽しい時間は過ぎるの早いです」
「そうだな」
 でも、日が落ちるまではまだ時間がある。
「ねぇ、久しぶりに集まったんだし話してばっかもなんだからさ。狩り行かない?」
 僕はそう提案した。みんなが今までの間にどれだけ実力をつけたのか気になるし、自分の癒しの力がどこまで通用するかみてみたい。
「いいね、メンバーも丁度バランスいいし」
「そうだな、俺の実力を見せてやろう」
「あんだのおっそーい詠唱の間にこのアタシが倒してあげるわよっ」
「面白そうですね、賛成です」
「行くのは賛成・・・。・・・公平パーティ組める?」
 ハッ! たしかにカヴァルの言う通りだ。公平が組めないと、攻撃手段のない僕には経験値が入らない。
「まぁ、たまには非公平で支援してもいいし・・・」
 皆と行くんだし、そこまでこだわらなくってもいいかな。
「だめだよ! わたし達だけ経験値もらうわけにはいかないよ」
「そうだ、お前が一番低いのにさらに差がつくぞ?」
「なっ、なんで僕が低いって言い切れるのさ!」
「支援職なんて得てしてそんなもんだ」
 それなんて理屈・・・。
「皆さんレベルは? アルマは56です」
「!」
「わたしは53だよ」
「アタシも53」
「俺は58だ。アルマ結構高いのな」
「おれは・・・、57。実はもう・・・転職できる」
「!!」
 な、なんだってー!
「なんで転職してこなかったんだ?」
「みんなと・・・別れたときの姿で、会いたかったから」
 なるほど・・・。
「それに・・・、転職はみんなで一斉にしたい、・・・って思ってる。だめか?」
「い、いいんじゃない? みんな同じところから始められるしさ!」
 僕はすかさず賛成!
「うん、そうねー・・・って、イレンのレベル聞いてないよ?」
 ギクッ!
「ほ、ほらっ、公平は組めるんだし・・・」
「どーせ低いんだろ? 隠さないでいいって」
「そうだよー、減るもんじゃないし。いくつなの?」
 うぅ、ニニアの笑顔がイタい・・・。言えばいいんでしょ、言えば!
「・・8、だよ・・・」
「なーにー? 聞こえないよ?」
 ヒュリスの意地悪っ!
「48だよ! 公平はできるから低くていいじゃないかぁ」
「ギリギリだな・・・」
「ほ、ほらラウルが上がる前にイレンが上がればギリギリじゃなくなるよ!」
「イレン、頑張ってあげましょう! アルマは応援しています!」
 みんなの・・・慰めに近い言葉が痛い。だから言いたくなかったんだよ・・・。
 そこで狩場なんだけど、とヒュリスが切り出した。
「狩りいくんなら、ベース経験値だけでもおいしいところがいいんじゃない?」
「おし、それならちょっと背伸びして──、アインベフ鉱山ダンジョンでも行ってみるか。それにゲフェンダンジョンとかはもう行き飽きてるだろ?」
 えぇっ、だからって鉱山ダンジョン!? そりゃ確かにゲフェンダンジョンは行き飽きてるけどさぁ・・・。
それに。
「鉱山ってベアドール事件の場所じゃないの!?」
「ベアドール事件? 何それ初耳ー」
「ほう、そんな事件があったのか」
「アルマ聞いたことあるです。お祖父様が話してくれました」
 アルマ以外はみんな知らないようだから、説明することにした。
 ──ここリヒタルゼンのから北東に進んだ町、アインブロック。工場の立ち並ぶ都市で、工業生産物が有名である。その町のおもちゃ工場で生産されるベアドール。構造も単純で材料も安く、家庭用おもちゃとして大量に生産されていた。しかし、一家が次々に殺される怪事件が立て続けに起きた。その被害者の共通点は、すべての家庭がベアドールを所有していたことだったのだ。どうやらこのベアドールはなにかの意思を持ち殺戮をするらしく、次々に事件を起こしているようなのだ。製造元を突き止めると、全て同じ工場から作られていることが判明した。増える被害にアインブロック警備隊までもが動き、全てのベアドールを回収した。しかし、回収されてまとめられていたベアドールたちは、スクラップ直前で大脱走をした。鉄の網を潜り抜け、逃げ出したのである。そして、その殺人人形・ベアドールが逃げ込んだというのがこの鉱山ダンジョンだった。当時から危険なモンスターが多く生息していたため、ここでの事件は打ち切られた・・・それからこの鉱山に入ったものは生きて出られないという・・・。
「確かに、こわいね」
「そうだよ! 僕らのレベルじゃ狩る前に狩られちゃうってぇぇ」
 みんなが怖がっている中、平気そうなのが一人いた。腕を組んで偉そうにして──
「大丈夫だぞ」
「ラウルは何を根拠にそういうのさ!?」
「事前に鉱山ダンジョンのデータは手に入ってる。もともとレベルに関係なく行く気あったしな」
 ・・・へ?
「確かにベアドールは出現するが、地下2階からだな。さすがに地下2階まで行くとは言ってないぞ」
 な、なんだってー!
「少々ジャンクポットが強いくらいだな。あれは俺が狩れるから、ほかのモンスターは皆で何とかなるだろ」
「んじゃ問題なしね~」
「鉱山決定! っと」
「う、うん、そうだね・・・」
 どうしよう決定しちゃったよ! 僕ベアドール事件の話聞いて夜眠れなくなったのに・・・。
「イレンは何震えてんのよ。早く準備してきなさいよっ」
「あ、うんわかったよ!」
 こうして僕はトラウマと向き合うことになった。ベアドールの呪いとか、かかったらどうするんだっ!

  ===

「とうちゃ~く!」
 薄暗い鉱山の入り口・・・。僕達はそこで支援準備をしている。
「に、ニニアやる気満々だね・・・」
「だって久しぶりのみんなとの狩りなんだもん!」
 そう言ってニニアは剣を確かめるように振った。ぶん、と振られた剣が空気を切る。確かにそうだ。僕もトラウマはさておき、気を引き締めないと。支援が気絶したらパーティは全滅するかもしれないんだからっ。僕がみんなを守るんだ!
「『エナジーコート!』。みんな、準備はいいか?」
「おーっ!」
 先に前衛のニニアとヒュリスが入る。次に僕とアルマ、カヴァル、最後にラウル。
「うわー、くっらーい」
 ヒュリスの言う通り、暗い。唯一の明かりも古びたランタンが吊るされているだけで、足下も悪い。
 ・・・ん? 何かが僕の横を漂ってきた。
「可愛いなー、このピンクのもこもこ・・・」
 僕は近寄ってきたピンクのもこもこに顔を近づけようとした。なんだか可愛い。
『チャージアロー!』
 飛んできた矢が勢いよく吹っ飛ばす。僕は驚いてしりもちをついてしまった。
「うわぁっ!?」
 そして、吹っ飛んだ先で爆発!
「・・・・・・」
「あれ、ノクシャス。・・・自爆するモンスターで、・・・危ない」
 そ、そうだったのか! 知らなかった・・・。危うく僕の頭も木端微塵になってたかも・・・。
「ありがとう、カヴァルのおかげで助かったよ」
「あんたがドジなのがいけないのよ」
 相変わらずヒュリスは厳しい・・・。
「あ! ピットマン!」
「よしきた『石投げ!』」
 まずヒュリスが、ピットマンのターゲットをとる。ニニアも剣で攻撃に加わり、ラウルがファイヤーボルトを唱えカヴァルが矢を射る。アルマはというと。
『ファイヤーボルト!』
 アルマはINT型の商人で、火の宝剣を持って魔法を唱えている。アルマの家に代々伝わる宝剣らしい。
 僕はひたすらヒュリスにヒール! しながら、辺り一面を見回す。っあ、
「アルマの左にベノマスがっ!」
『チャージアロー!』
 カヴァルが素早く距離を開かせる。
「まかせて! 『バッシュ!』」
 距離が開いたところでで、滑り込むようにニニアが突っ込む。叩き込まれたバッシュでベノマスは四散する。
 それから、僕達は順調に狩りをすることができた。ジャンクポットに無謀にも突っ込んだヒュリスが戦闘不能になったり、ラウルが縦置失敗して轢かれたりしたけれど。僕は無事50レベルまで上がった。みんなのおかげだ! 呪いもなくって安心。
 そして僕達は町に戻ってきた。

  ===
 
「おつかれ~っ」
「おう、じゃあな」
 収集品の清算をして、今日は僕たちは家に帰った。招集がかかっている日は明日だ。アルマ、ラウル、カヴァルとヒュリスは家の方向が違う。4人と別れたあと、僕達二人は家に向かって歩いていた。ニニアと僕はお隣さんだ。
「あ~っ、今日は楽しかったな!」
「そうだね」
「イレンもお疲れ様」
「うん、ニニアもね」
 みんな、強くなってる。時間は流れてるんだ。
「・・・早くプリーストになりたいなぁ」
 思わずぼそっと言ってしまう。
「わたしも早く、ナイトになって・・・」
 ニニアがちょっと俯いて、こっちを向いて言う。
「・・・イレンのことも、守ってあげるからね」
「・・・うん」
 くすぐったくて、嬉しい。なんかちょっと情けないけど、僕にはこれがちょうどいいような気がした。
「・・・僕だってニニアが怪我したら・・・、いつだって治しに飛んでくよ」
「あははっ、ありがとう」
 ほんとは怪我させないように守るのがいいんだけどね。僕かっこわるい。
 話が途切れて沈黙が流れる。今の僕は、こんな沈黙さえも大事にしたい。
 日も落ちて、ぼんやりとした街灯が僕達二人の足下に影を作る。二人でこうやって歩く石畳も久しぶりなんだよなぁ・・・。
「そういえばさ招集、一体なんなんだろうね」
 ニニアが口火を切った。
「なんなんだろうね・・・? いきなり集められてもなぁ」
 皆に会えたのは嬉しかったけど、修道院の方のお勤めもある。できるなら手早く済ませたい。
「ま、どこかのモンスター退治なんじゃないかな? 最近凶暴なモンスター多いって聞くし」
「うん、そうだねー・・・」
 でも退治ならレイガさんもいるし、僕らを呼び寄せる必要はないんじゃないかなぁ。
「それじゃね、イレン」
 あっ! もう家の前だ。時間は都合の良いときだけ早いなぁ・・・。
「ニニアお疲れー! また、明日に!」
「またねー」
 ニニアは大きく手を振って言った。僕も軽く手を振り返す。
 家に入ると、懐かしいシチューの匂いが漂ってきた。
「ただいま、母さん」
 台所に立つ母に、声をかける。今までも家には帰っていなかったから、久しぶりの我が家。
 母さんが、6年前と変わらない笑顔で。
「おかえり、イレン」
 言ってくれた。僕は陣割と嬉しくなり、帰ってきたことを実感する。忙しいし、修道院は外部との連絡にも厳しいから手紙を送ることもできなかった。
「元気にしてたよ。母さんは?」
「この子ったらまったく連絡もよこさないで・・・。心配したわ」
 母さんの目にうっすらと水が浮かんだ。ぎゅ、と抱きしめられる。腕の中で、小さくなった母さんを感じる。抱きしめてくる力強さがある。母さん、元気みたいだ。
「ただいま」
 僕はもう一度言った。
 ・・・しばらく、そのままでいた。
「イレンはあまりにも連絡しないから、知らないでしょう?」
「え?」
「家族が増えたのよ」
「! ほんと!?」
「ええ、イレーヌこっちへおいで」
 ひょこ、っと小さな女の子が顔を出す。髪は僕と同じ金髪で、くるくるした髪を背中まで伸ばしていた。どうやら、僕には妹ができたらしい。5歳くらいだろうか、くりくりした瞳で僕を見ている。
「おかぁさん、よんだぁ?」
「ええ、イレーヌのお兄ちゃんのイレンよ」
「おにい・・・ちゃん?」
 改めてそう言われると、なんだか気恥ずかしい。
 僕は腰を屈めてイレーヌと同じ目線の高さにする。
「初めまして。僕、イレン、おにいちゃんだよ。これからよろしくね、イレーヌ」
「おにーちゃん!」
 僕の足に抱きついて、きゃきゃと笑う。可愛いなぁ、イレーヌ。思わずふふっと笑みがこぼれる。
「イレーヌいくつ?」
「うーとね、よっつになったのー」
 言って、えへへと笑う。無邪気で、天使のようだって言いたくなった。
「ついこの間四つになったのよ」
「へぇ、そのときに行けれれば良かったな」
 自分の都合なんかで修道院は抜けられないから仕方ない。
 僕はイレーヌの頭をよしよししてあげる。
「ほら、イレーヌもう8時よ。寝る時間だから歯を磨きなさい」
「はーい」
 イレーヌは素直に洗面所のほうまで走っていく。とたとたと走る姿は、ちょっと危なっかしい。
「イレンはどうする? お夕飯にシチューがあるわよ」
「うん、久しぶりに母さんのシチュー、食べたいな」
 僕は母さんの作ったシチューをじっくり味わいながら、6年間のことを話した。話しながら、色々あったんだなぁと再認する。過ぎてみるとあっという間だった6年間。その年月の中にも変わらないものがある。また、ここに帰ってきて母さんの顔が見れてよかった。
「ところで・・・」
 食べ終わったシチューの皿を台所に運びながら、気になったことを口にする。
「イレーヌも僕のように冒険者になるの?」
 このミッドガルドでは、旅をしないものと旅に出る冒険者とに分けられる。僕はもちろん冒険者。冒険者ギルドにも入っている。
「え、ええ。でもイレーヌはまだ子供だから、まだその話はいいわ」
「でも冒険者になるのなら早めがいいよ。転職の準備も」

  バン!

「あの子はまだ子供なのよ。そんなこと関係ないわ!」
 いきなり響いた、テーブルをたたく音。母さんが珍しく語気を荒げている。ぼ、僕何か気に触ること言った?
「か、母さん・・・?」
 恐る恐る顔を見る。すると、はっと気付いたように目を逸らした。
「い、いえ・・・あの子にはまだ早いって思ってるだけよ。女の子だし、なるべく危ないことはさせたくないもの」
「・・・そうだね」
 この話題はここで打ち切ったほうが良さそうだ。それにしても珍しいなぁ、母さんが怒るなんて・・・。
「イレン、長旅で疲れてるでしょ。部屋は綺麗にしてあるから、ゆっくりお休みなさい」
「・・・うん」
 ちょっと釈然としない気持ちのまま自室への階段を上がって行った。
 僕の部屋は、あのときと全然変わっていなかった。わがままを言って屋根裏に作ってもらった部屋。月が、ベッドから綺麗に見える。よく寝転んで月を眺めていた。また、同じようにできるかな?
「あれ・・・新月か」
 曇りない夜空だったけれど、月はまったく見えなかった。どうやら新月のようで、代わりに星々がより輝いてみえる。星より、月が好きなんだけどな・・・。
 ベッドの横には、机と椅子がある。アコライトになるときに勉強した教本やノートもそのままだ。僕は椅子に座って今日の出来ことを反芻しようと思った。こんな楽しくて嬉しい日は、しっかりと心に刻んでおきたい。
 ──狩りから帰って清算中のこと。将来何になるかをお互い言い合ってた。アルマは清算をしながらだったけど。
「はい、これ今回の戦利品ね。早くローグになりたいもんだわ」
「受け取りましたー」
「ヒュリスはローグになるんだぁ。レイガさんと同じアサシンじゃないの?」
「お兄ちゃ・・・兄さんみたいなアサシンも。憧れるわ。でもね、私は盗むことに特化したいのよ! スティールコインでうはうはしてやるわっ」
「そりゃまた小さい夢だなぁ?」
「なんだってこのぼけマジシャン!」
「まぁまぁ・・・」
「ラウルは何になるのー?」
「俺か、俺はな、ミッドガルド一のウィザードになってやるよ。強力な大魔法を習得してモンスターを大量に殲滅する・・・ククク。唸るストームがスト、轟くロードオブヴァーミリオン・・・」
「ら、ラウル!? なんか黒いのでてるよ!」
「ラウルの分、これで全部ですね。戴きます」
「カヴァルのはどれです?」
「ん・・・。俺、ハンター。鷹を飼いたい・・・」
「鷹かっこいいもんねー」
「・・・いや、非常しょ・・・ゲフンゲフン」
「カヴァル、そのわざとらしい咳払いはなにっ!?」
「はい、アルマ。わたしはねぇ、ナイトになりたいな。皆を守る壁になるの。わたしの防御力と体力で、何人たりとも通さないの!」
「へーぇ、ニニアらしいじゃない」
「そうだな、前衛がしっかりしてくれていると助かる」
「僕は・・・」
「プリーストだろ?」
「プリーストしかないでしょ」
「言わせてくれたっていいじゃないかぁー」
「早く辻支援いっぱいできるようになるといいね、イレン」
「・・・うん、ありがとう」
「アルマは、アルケミストになります。アルマが作ったポーション、皆に飲んでもらいたいです。もちろんイレンには青ポーション投げますよ!」」
「ほんと? 頼もしいな」
「楽しみに待ってるぞ」
「──ねぇ、僕達将来が楽しみだよね」
「っと、清算終わりました!」
 ──・・・・・・。
 夢に向かって歩き出してる僕達。もっと皆と、世界のいろんなものが見たい。喜びを共有したい──そう思ってるのは、僕だけじゃないよね?
 そんなことを考えながら、僕はまだ夜空を眺めていた。夜空を眺めるのも久しぶりだ。なんだか、星がざわめいているように見える。様子が違う星々に胸騒ぎがした。なにかあるのかな・・・?
 暗い部屋に光が差した。誰かがドアを開けて、廊下の光が入ってきたのだ。
「?」
 ドアを開けて入ってきたのは母さんだった。逆光顔は見えない。
「イレン・・・。まだ、起きていたのね。寝ていれば何も知らずにすんだでしょうに」
 一体、母さんは何を言っているんだろう? いつもの母さんとは違う、凍ったような冷たい口調だ。感情を押し殺しているようでもある。
「何、母さん。・・・っ!?」
 母さんの後ろのドアから、黒い服を着た人たちが4人、入ってきた。
 僕は思わず立ち上がり警戒する。ガタン、椅子が倒れた。
「イレーヌのためなの・・・。ごめんね、母さんはイレンのことも大切だけどイレーヌはもっと大切なの」
「母さん、一体何を言ってるの!?」
 目が明るさに慣れてきて、どうやら体格のいい男が4人いるとわかった。母さんは黒服の男たちに尋ねる。
「話してもいいかしら・・・?」
 4人のなかの一人が頷く。母さんは僕のほうを向いて話し始めた。顔は、見えない。
「イレン、よく聞いてね。ここリヒタルゼンにはレッケンベル社があるでしょう? そのレッケンベルで、実験を行うそうなの。人が神に近づくため、ただの人間を凌駕する人間を作るため・・・だったかしら。そしてその実験は、危険が伴う上にまだまだ開発段階なのよ。それで・・・人体実験が必要なんですって。ある程度成長した若者の身体が必要らしいのよ・・・。この街でそのくらいの若者は、あなたたちくらいしかいないの。ごめんね、イレン」
 まさか。<あなたたち>って・・・!?

  ゾッ・・・。

 僕は全身の体温が冷えていくのを感じた。
「そ、それじゃあ、今回の招集は・・・」
 母さんが頷くのがシルエットで分かる。
 人体実験のための、招集。若者を集めて実験に使う。・・・そんなこと。
「許されないことじゃないの!? 人として、そんなことやっちゃいけないよ! 人の命を何だと思ってるんだ! そんなこと、社長が許しても聖職者の僕が許さない!」
「イレン・・・。諦めて頂戴。もうレッケンベルのほうでは決定事項なの。あなたを献体すれば、イレーヌだけは見逃してくれるって・・・」
「そんなの、どこに保障があるんだよ、母さん!」
 男たちが無言で僕のほうに迫ってきた。捕まえて、研究所まで力づくででも連れていく気だ。逃げないと・・・!
『ルアフ!』
「!!」
 聖なる青い光が部屋の中を一巡する。暗いところに目が慣れている男たちには、とてもまぶしいはずだ。僕は、母さんの話の途中から片目をつぶっていた。今閉じていた片目を開く。・・・見える!

  ガシャン!

 椅子をつかんで窓ガラスを叩き割る。そして、覚悟を決めて飛び降りた。
「──ッ!」
 声を押し殺して転がって着地する。石畳にぶつかった瞬間、肺の中の空気が全部出てしまったような衝撃がきた。2階から飛び降りたのは初めてで、全身が痛い。ガラスの破片が何枚か刺さったようで、血が出てきている。窓を見上げると男たちが身を乗り出していた。暗くて僕が見つからないらしく、キョロキョロと見回している。
 ──新月万歳!
『速度増加!』
 ヒールで傷を治している時間なんてない。みんなは・・・大丈夫だろうか!?
 僕は月のない夜の街を走り始める。

  ===

 街を走っていて、建物の陰に人気があった気がした。もしかして皆かもしれなと思って近づこうとしたところ、
「むぐっ!?」
 ──後ろから口に腕を回された! 暴れようにも声は出せないし、力が強くて振りほどけない。僕は、ここで捕まって実験体にされるのか!? いやだ、いやだいやだ──!!
「おれだ」
 僕の口をふさいでいた人が、顔を耳に寄せて言った。この声は、カヴァル!
 相手がカヴァルだと分かって込めていた力を抜くと、カヴァルも腕を緩めてくれた。って、
「カヴァルは大丈夫なの!?」
 カヴァルは右目の上を怪我していて、流れる血に目を瞑っていた。他にも所々怪我をしている。
「静かにしろ・・・」
 そう言ってカヴァルはずるずると座り込む。僕も「ちょっと休もうか」と腰を下ろす。思考の隅に警戒することは置いておく。カヴァルも敏感になっているようで、いつもののんびりとした雰囲気がない。
『ヒール』
 声は押さえ目に、癒しの御手をカヴァルに近づける。傷は暖かい光に包まれて治っていった。
「助かった」
 ふぅ、とカヴァルは息を吐いた。
「・・・イレンは大丈夫か?」
 そう言えば、僕も飛び降りたときにあちこち怪我をしていたんだった。
「でも、カヴァルにすれば大したことないしさ、」
「おれの傷はイレンが直した。イレンが傷ついてるのは、いやだ。皆も悲しい」
 僕の頬の傷をなぞったあと、僕の腕を取ってぎゅっと握る。
「ッ・・・!」
「イレンは嘘が下手・・・」
 そこッ! 打撲してるかもしれない場所だよっ! 痛かったけど、見つかることも考えると声は出せない。カヴァルは傷の法衣の上からでも僕が怪我してるのが分かったらしい。
「無理しない」
「~~~ッ!」
 カヴァルが人差し指で僕の怪我を押す。ぐりぐりと。ぼくはしじしぶと自分にもヒールをかけた。光に包まれて暖かくなって、痛みが消える。
「ねぇ、カヴァルも追われた?」
 さっきの黒服の男たちと母さんの言ってたこと・・・。気になって仕方ない。
「あぁ、変な奴らが撃ってきた」
「うそ!?」
 カヴァルが口に指を当てる。
「・・・ごめん」
「うそじゃない。身の危険を感じたから逃げてきた」
 どうやらカヴァルは実験のことなどは知らないらしい。僕は母さんが言ったことを話した。・・・本当のことかどうかは分からないけれど。
「・・・そうか」
 カヴァルはしばらく考えていた。
「イレンの母さんが言ってることが本当なら。・・・無事なのはもうおれたちだけということも考えられる」
 心臓がきゅっと締まる思いがした。ざわっと鳥肌が起こる。みんな・・・!
「あくまで可能性だ。まだ、街を逃げ回ってるのなら・・・合流しないと」
「・・・そうだね」
 僕達は立ち上がった。ここで座り込んでいても埒が明かない。でも、逃げられるだろうか?
 ・・・いきなりカヴァルが僕の頭を寄せて、頭突きを。
「ッ~~~!」
 痛い。おでこがじんじんする・・・。
「イレン、変なこと考えるな。前とおれだけ見てるがいい」
 そう言って、力強く笑った。普段は見られない、頼りになる笑いかた。そしてカヴァルは余計なものは見るな、と付け加えた。僕も、頷く。

  ・・・スッ。

「!!」
 衣擦れの音がする。僕達はとっさに息を潜めて音の方向を探す。

 ザッ、ザッ・・・。

 どうやら僕達は見つかったのではなく、ただ通り過ぎているだけのようだった。でも、こんな夜に誰が通り過ぎているんだ・・・?
 僕が顔を出そうとしたけれどカヴァルに止められた。確かに、カヴァルの髪色の方が目立たないだろう。
 物陰に隠れていたけれど、カヴァルが少し身を乗り出して見る。
「!」
 カヴァルの目が見開かれる。い、一体誰だったの!? こっちを向くけれど、すぐには教えてくれない。
「・・・騒ぐなよ」
 僕は無言で頷く。
「レイガさんが、・・・ヒュリスを抱えてた」
「それは・・・安全なんじゃないの?」
 レイガさんは強いし頼りになるんじゃないかなぁ。なにより、妹思いだし。
 カヴァルは首を振る。
「本当にレイガさんだったら、問題ない。でもヒュリス・・・ぐたっとしていて力がなかった。気絶していると思う。抱え方もおかしかった。普通なら、こう」
 そう言って腕を前にして、赤ん坊を抱えるように構える。レイガさんならそうするだろう。
「だけど、さっきは片手で脇に抱えてた。こんなふうに。・・・ありえない」
「確かに・・・」
 あのレイガさんが、ヒュリスをそんな乱暴に抱えるはずがない。
「それと。体からオーラ? 出てた・・・」
「オーラ?」
 それは99レベルになった時に足下から出る光じゃ・・・。強くなっただけでは?
 カヴァルはまた首を振る。眉をしかめて。
「99オーラの蛍みたいな光、じゃない。・・・もっと、禍々しい。紫色のオーラを全身に纏ってた・・・」
「で、でも見間違いってこともあるし」
「間違いない。・・・おれは弓手だ」
 確かに、カヴァルの目は信じることができる。でも、そのことを信じたくない。
「操られてる・・・とか」
 僕はできるだけプラスの方向に考えようとする。
「そうだよ、レイガさんは操られているだけで、洗脳を解けば元通りになるよ。ヒュリスだって、」
「誰に洗脳されてる」
 そりゃ・・・ぁ。
「レッケンベル・・・」
「洗脳は正しいかもしれない。・・・でも、おれたちが最初の実験台か? レイガさんが重役に就いたのは、理由がある。きっと・・・ヒュリスを人質にしたんだ」
「・・・・」
 それでレッケンベルの重役になるという名目で就職して・・・。
「でも・・・! さっきのがレイガさんだとすると、レイガさんがヒュリスを襲ったんじゃないのか!?」
 妹の為に自分の体を捧げて、自分で妹を傷つけるなんて・・・。
「・・・実験のためにはなんでもするんだ!」
 あまりの仕打ちに、僕もカヴァルも声を荒げてしまう。
 僕も・・・この体を実験台にされて、イレーヌを傷つけるのか。キリ、と心臓が痛くなる。なんで僕達がこんな目に合わないといけないんだ!
「・・・」
「ん? カヴァルどうし」
『集中力向上!』
 いきなりカヴァルがスキルを唱える。攻撃力と回避率を上げるスキルだ。
「うしろ!」
 振り向くと、レイ
『チャージアロー!』
 確認する前にカヴァルが吹っ飛ばした。
 ・・・はずだった。矢はレイガさんには当たらない。
「行け!」
「そんな・・・カヴァルを残して行けないよ!」
 見殺しにはできない!
「くッ・・・『チャージアロー!』」
「!?」
 なんでカヴァルは僕に矢を撃つの!?
「くぁっ!」
 僕が吹っ飛ばされる。カヴァルが新しい矢を番えて叫ぶ。
「おれはいいからニニアを助けろ・・・!」
 レイガさんがカヴァルに迫って。
「・・・『速度増加!』」
 僕は振り向きもせず走った。移動速度が上がるスキルを自分にかけて走った。振り向けやしない。ここにはもう、安全な場所なんてないんだ──。
 カヴァルを、おいてきてしまった。とりあえず僕は今街の西の木の上にいる。昔、皆でよく上った木だ。カヴァル・・・大丈夫なはずがない。それでもカヴァルは僕を逃がした。今僕にできることは・・・。
 ──行かなくちゃ。レッケンベルに。

  ===

 僕は図書室をこそこそと横切っていた。
 すんなり入れて良かった。僕達を捕まえるためか、今レッケンベル社の警備は非常に薄い。僕でも入れるくらい。まだ、僕以外の誰かが捕まってないのかもしれない。
 レッケンベル本社の左にある図書室。地下研究所が、この図書室の奥にあることは分かっている。どう見つからないように侵入するか・・・そう思っていたけれど、意外と問題なく進めている。顔だけでも隠そうと思って持ってきた変装アイテム、これだと必要ないかな・・・?
 ・・・人影が見えた! 僕は慌てて一歩下がって本棚に隠れる。一旦隠れてからじんわりと顔を出す。どうやら、警備の人が一人いるらしい。分厚い眼鏡に白髭を生やした変な警備員だ。しかし、よく見るとつけひげに見えてくる。
 っと、手が滑ったァ!? ばたん、と、音を立てて本棚の陰から倒れ出てしまう。やばい、やばい、絶対バレた! こっちに来る! もう──!?
 僕はなぜか逃げるという選択肢が浮かばなかった。それ以前に、足に力が入らなくて逃げられなかっただろうけど。
 すぐ、そこまで迫って。
「──関係者の方ですね!」
 ・・・へ?
 僕がきょとんとしていても、警備員は続ける。
「レッケンベル研究所・レゲンシュルムの関係者の方でしょう? そのスピングラスと白ひげ合い言葉がわりじゃないですか。
 そ、そうだったのか!? 僕は変装のために、持っていたグルグル眼鏡と白ひげを着けていたのだ。まさかこんな形で役に立つとは! ここの警備態勢、問題あるんじゃ・・・。
 ともかく、無事に警備員を抜けることができた。ドアを開けると細長い部屋がある。遠くまで続いていて、部屋がたくさんあるようだ。そして、入ってすぐの下りの階段。ここは1階だから、きっと地下の研究所への階段だろう。この下に、皆がいる・・・。確証はないけれどそう思った。こういうときの勘は当たる。

  カツ・・・、カツ・・・。

 石でできた階段を慎重に慎重に、恐る恐る降りていく。なんだか・・・不思議な空気だ。ここはたぶん、生者のいていいところじゃない。僕は思わず体を震わせた。空気がどことなくひんやりとしているからかもしれない。床には黄色と黒の模様の入ったテープが張ってあったり、立ち入り禁止の立て札があったりする。すこし、歩き回ってみよう。今のところ人の気配らしきものは感じない。
 小部屋というか、学習部屋が多い。一人分の机椅子と本棚がセットで設置されている部屋がほとんどだ。そのうちの一つの部屋に入ってみる。椅子の様子なんかはなかなか使い込まれている感じだけど、直前まで使われていたようなあとはない。床石のスキマに髪の毛を見つけた。黒くて、まだつやのある毛。どうやら、若い人の髪の毛のようだ。本を一冊手に取ってみた。・・・僕に読めるようなタイトルじゃない。開いてみたけれど、小さな文字列と訳の分からない数式で頭が痛くなりそうだ。研究所にふさわしい本だな、うん。そう思いながら僕は本をもとの場所に戻した。
 って、僕は皆を助けることが目的でここまできたんだ! 怖いからって、観察みたいなことばっかりしてちゃ、皆はどうなるんだ。僕がこんなことしてる間に、カヴァルは、ヒュリスは、皆は──。・・・ニニアは。僕は、こんなことをしている場合じゃないだろ!
 僕は頬を両手でぴしゃりと叩いて、皆の救出のために歩き出す。もちろん足音には注意する。どこに敵がいるか分からないんだ──。
 一人部屋が続いている廊下を抜けると、ベッドがたくさんある部屋があった。寝所なのかな? 一つの部屋にいっぱいベッドが並べられていて、とても窮屈な感じだ。そのベッド部屋が三つ続いている。さらにその奥へ行くと・・・。
「・・・ふぅ、行き止まりじゃないか」
 さっきから人の気配もしないし物音もない。僕は安心し始めて、独り言をもらした。
 ここにはいないのかな・・・? 自分のカンが僕を疑い始めたとき、曲がり角から音がした。

  ・・・コツ、コツ、コツ、コツ。

 一定間隔で聞こえてくる音から、足音だと分かる。近づいてきてる・・・。僕は身を固めてしまう。油断し切ったぶん、心臓を鷲掴みにされる。そして、気づく。
 しまった、ここって袋小路じゃないか!
 どう逃げようか!? 足音は一人みたいだけどレイガさんとかだったら逃げられないし、もしかしたらみんなのうちのだれかかも──そうだったらいいんだけどそんな都合のいいことってないよなぁ!?
 とっさに逃げる手段は思いつかない。敵だったら、仲間だったら・・・。確認してからでもいいじゃないかと思った。
 足音が、角を曲がる。
「!」
 驚きと喜び。それが一緒に来た。
「ニニア!」
 そう、ニニアが角を曲がってきたんだ。僕は一気に肩の力とか、張っていたものが抜けた。心配事が一つ減って、すっかり安心してしまう。
 ニニアも僕をみて一瞬驚いた後、顔を綻ばせる。こんなときにこんな場所じゃなかったら、僕は舞い上がっていただろうなぁ。
 僕は行き止まりの隅っこからニニアに近づいた。
「ニニア、ほんっとにニニアなんだよね?」
「うん・・・」
「よかった・・・。でも・・・。カヴァルが・・・僕の代わりに・・・」
 目元が熱くなって、鼻の奥がつーんとしてくる。
「・・・うん、イレンは、大丈夫? 顔、真っ青だよ」
 ニニアが僕の手をとって、両手で包む。
「手だって、こんなに冷えてる・・・」
 ニニアの手は、暖かい。こんなときにこんな場所で、僕は顔を赤らめてしまった。僕は顔を見られるのが恥ずかしくて、俯いたまま言う。
「ニ、ニニアは大丈夫だったの? 黒い服の人に追いかけられたでしょ?」
 ニニアは答えない。僕はどうしたのかと顔をあげた。ニニアは、悲しそうに眉を寄せて、微笑んでいた。
 そして、僕の質問には答えずに言う。
「こんな風に手を繋いだのは初めてだよね・・・」
 ニニアは繋いだ手を胸の前まであげた。僕の手とニニアの手の存在を確認するかのように。ニニアの手首に、見慣れない銀色のプレートが付いていた。アクセサリーにしては無骨な感じがする。
「うん・・・。ニニア、どうしたの・・・?」
 ニニアの表情と、質問に答えないことが僕を不安にさせる。
「ねぇ、」
「イレン」
 珍しくニニアが言葉を遮った。
「好きな花は、誰かに折られるくらいなら自分の手で手折(たお)りたいと思わない?」
「え・・・?」
 それはどういう・・・。
 言葉の意味を飲み込む前に、ニニアが僕の手を振り解いて抱きしめてきた。細い腕、だけれど力強く。ニニアの頭が、僕の横にある。吐息さえも聞こえてきそうだ。僕はどうすればいいのか分からない。このまま、腕を回していいのか!? ニニアは、僕を抱きしめて震えていた。そして、僕の耳にささやいた。僕にしか聞こえないような小さな声で。
「ごめんね」
 僕は目を見開いた。
 鋭い痛みの後に熱が走った、脇腹に。今までに感じたことがないような痛み。きっと心も体も痛いからだ──。
 僕は、崩れ落ちるように倒れた。視界の隅で、僕の体から剣が抜ける。さらに痛む。でももう、声を上げる気力もない──。脇腹は熱くなるのと同時に、何かが抜け落ちて冷えていく──。
 ニニアは・・・? 僕はうつ伏せに倒れた姿勢で目を動かす。──いた。無表情に、泣いていた。剣士の衣装を赤く染めて、泣いている。さっきまでニニアが浮かべていた、泣き笑いのような表情はどこにもない。体からは、紫色の──カヴァルが行っていたオーラ──が、染み出している。
 僕がなかせたんだよね、ぼくが。まもれないけどいやすっていったばかりなのにこのぼくがきずつけて。
「皮肉、だよ・・・ね。わたしが守りたいもの、わたしが傷つけてる・・・。この剣で守るって言った、わたし、がこの剣で」

  カラン。

 ニニアが剣を落とした。そのままへたり込む。涙が床に、僕の頭に落ちる。
 うごけないよ。すきなこがないてるのになみだもふいてあげられない。

「──たぞ!」
「──重にな、・・・大切な」
「──大切な実験台なんだから」
「──くやったな、LHG-SW01。おい、LHG-SW01を連れて行──」
「──班、LHG-AC01は重傷だか──」

 赤い服の作業兵が、集まってきた。そして、音も画像も遠くなる。



 ──みずのなか。いたいいたいとおもっていたけど、なんだったんだろう。ぼくはだんだんぼくじゃなくなる。ぼくというそんざいがうすくなってひきのばされ──。



 光の頂点リヒタルゼン、この街の独占企業のレッケンベル。少年たちが街から消えてから7日経って、地下研究所レゲンシュルムで事故が起きた。レゲンシュルムでは人を神に近づける実験のためさまざまな細胞・細菌が培養されていた。培養されていたそれらが暴走して異常に発生し、レッケンベルはレゲンシュルムを封鎖して放棄することを決定した。
 今、その実験に使われた悲しい6人のクローンが、地下研究所を徘徊している。自分たちを実験台にした科学者たちへの恨みを、果たしきれない恨みを、晴らすため──。


 ──ねぇ、僕達将来が楽しみだよね。










おわり






ここまで読んだ方へ お疲れさまでした! 暇なんですね

打ち込むのも疲れた…。四日かかったでなwww
文字数18,000だって\(^o^)/
鍵カッコも1文字換算だからそこまでないか!!
しかしまあ会話だけの場面が続くと、漫画でいう顔漫画状態ってやつですね。動きがなくて打ち込んでて頭痛くなりました。

なんか所々設定がおかしいけど、当時のおれなりの解釈だったということで・・・。
そうそう当時生体スレとかは読んだことありませんでした。
どうやらこの時から場面転換の区切りには===使ってたようです、面白いw

打ち込んどいてなんだけどおれはこれもう読みたくないなー!!
まあなんていうかブログを放置してた罰としてタイピング2万文字の刑と黒歴史暴露の刑みたいなつもりでもあります('ω`;
自己満足であることに間違いはない・・・!

でもなんだかんだで当時は頑張って書いてたので、どこかに公開したいなっていうのもちょっとあったり。ヘヘ・・・
やり切ったんや!(グッタリ
04:19 駄文 | コメント(6) | トラックバック(0)
コメント
No title
ぬおあああああああああ!!?


これはアカンwww
こういうの大好物だけど、読んだらもう生体であいつら殴れない(/ _ ; )

なんて良い作品を作ったんや……
こういうお話は大好きだからつい仕事の休憩つぶしてよんでしまった\(^o^)/

生体の細かい設定は知らないけど
LOVAコラボでマガレ達の過去が少し見れたりするから他のキャラ達も気になるところ、、、(´・ω・`)

No title
あああああああああああああああああああああああああああああやめあああああああああああああああああああああああいやあああああああああああああああああああああlっぁぁっぁあああああああっふぁあああああ
>>ムラサメさん
ヌアアアア!! 
読める人が居たとはびっくりだよ\(^o^)/
なんていうかアレだな! 読んでくれてアリガトウ┏○))ペコ
当時のおれはガンガン狩ってたで…慈悲はない
>>ドン君
ハッピーエンドじゃないから暇つぶしに読むのもお勧めできないでな/(^o^)\

レディム取るときのクエストとか、公式の設定が垣間見れるもいいよね(´ω`)
LOVAコラボも時間あるときにちゃんと上のランクを行ってみたいね!
>>シャミさ
おああああああっあああっ…傷を持つ者が釣れたぞオオオオ!!
いやー長いことROやってると色々あるよね(白目

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